短編映画の国フランス
そこでちょいとフランスの短編映画事情をリポート。
今朝、カフェでお茶を飲んでいると、横から「この夏短編を撮る予定でね…」と。
前にカフェで隣り合わせた画家さんも「短編を撮ろうと思ってて…」とあらすじを語り始めた。
とにかくよーく耳を澄ませていればこんな話はどこでもある。
電車で向かい合わせた人。バスで隣合わせた人。アマかプロかはさておき、映画制作人口が多い。
フランス国内至る所で、多種多様の短編映画祭が映画好きのボランティア主導で役所、地元企業などの協力を得て行われている。
一番の例がフランス中部の町クレルモン・フェラン。ここで1月末2月の頭にかけて開催される国際短編映画祭は世界最大規模で、期間中は街の人口が2倍に膨れ上がる。
私も仕事で参加している。この時期にしか行ったことがないのだが、会場周辺は地元観客、外国人のバイヤー、作家その他関係者で溢れ返って、夜中まで賑わいを見せている。
町中あげてのお祭り。地元民は映画を通しての異文化交流に喜び、映画祭を通して世界を広げている。
私もここで普段出会うことのない国の人々と交流する。日本の裏側で制作された作品を見、異なった価値観に驚き、感動する。
映画を通して世界を感じ、繋がっていく。
そういう意図もあるのか、フランスでは助成システムが確立していて、国、地方公共団体などが商業ベースにはのらない文化、芸術作品である短編映画の制作を助成している。
パリでは年中、短編映画祭なるものがどこかで行われている。
制作も然り。
映画文化が浸透している。映画が身近にある。制作者と観客の関係が近い。表現したいものにはその環境が与えられる。
映画祭をしたいものには会場を与えるインディペンダント系の映画館が数多くある。遠い国の無名監督の良質の映画、過去の名作、短編映画・・・商業ベースにのらない作品を上映する場所としてこれらの映画館は国の手厚い保護を受けている。
日本の古い映画も常にどこかの映画館で上映されている。
100人近く収容の映画館で観客が数人なんてこともしょっちゅう。でも観客動員だけ考えてセレクションしたら自国の作品かハリウッド大作のみしか見れなくなってしまう。価値観が偏ってしまう。
ありがたい存在だ。
日本もそうなればいいなと思う。
特に地方都市では選択肢は限られている。
すばらしい文化が、作品が世界中に溢れているのだから、日本国内で上映機会を得られず眠っている作品があるのだから、その場所を与えられたらいいなと。
それを見ることによって開かれる世界があるから。学ぶものがあるから。
EDHの野望・・・かな。
(Hiroko)
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