パリ事務所便り

ブラザーズ・クエイ特集に行ってきました@パリ (2010年05月17日付け)

先日、パリのForum des imagesで、クエイ兄弟の特集上映の招待券をいただいたので行ってきました。

姫路のスタッフは、昨日開催して大成功を収めた「シネマナイト」の準備に励む中、特別プログラムの作品選定を担当している私は、作品探しに励んで、上映会などにもちょこちょこ顔を出しています。

さて、火曜の夜にもかかわらず、300人近く収容のホールは、満席。




19時からと、21時からの2部構成で、19時からは、クエイ兄弟が影響を受けた作家の特集上映。21時からは、クエイ兄弟自身が選んだ彼らの作品を上映。

クエイ兄弟と言えば、1986年に発表した、「Street of Crocodiles」で一躍注目を浴びたストップモーション作家で、退廃的かつ幻想的な独特の世界観でカルト的人気を誇っています。

2部のクエイ兄弟自身が選んだ彼ら自身の特集上映では、「Street of Crocodiles」のほか、実写長編作品の抜粋や、彼らが担当したセットを担当した舞台など、クエイ兄弟の世界をあらゆるメディアで堪能できる欲張りなプログラム。

もちろん、彼ら自身による作品解説などもあり。

やっぱり一番面白かったのは彼らの代表作「Street of Crocodiles」。



退廃的で、怪奇的で、でもとっても美しい彼らの世界。
大画面で観ると、細部にまでわたるこだわりが感じられ、あらゆるオブジェ、動きに、クエイ兄弟の独創的な世界観が反映されています。
好き嫌いはかなりあるでしょうが、完成度が非常に高いので、見入ってしまう。

実は、仕事帰りで、疲れていて一部の作品の途中にちょっとうとうとしてたのですが(失礼!)、クエイ兄弟のは、お目目ぱっちり、釘付け状態。

ちなみに、この作品の陰鬱さからは想像できないくらい、クエイ兄弟は、さっぱりした感じのナイスガイ。アメリカ生まれの、イギリス在住。黒ずくめですが、いたってフレンドリーな感じでした。

トーク内容で印象に残ったのは、双子の彼ら、アニメーションは基本二人で制作し、他人が介入するのは好まないということ。理由は、双子なので、言わなくても感覚的に通じることがあり、他人がその中に入って一緒に作業するのは双子と、第三者、双方にとって、大変な作業なんだそう。

唯一、彼らの中にはいりこめたのは、長年の飲み友達。気心のかなり知れたその友人は、次第に手伝いをするようになったとか。

アニメーション現場では当たり前の、研修生なんかもとらないそうです。
クエイ兄弟ファンのアニメーターには残念なお話。

でも、だからこそ、彼ら特有の世界観を完璧に保ち続けられるのかもしれませんね。

彼らの作品のほか、1部の作品の中でも気にいった作品がいくつかあったので(どれも東欧カラ―全開)、また、ひめじ国際短編映画祭の特別プログラムや、特別上映会などで上映したいです。かなりマニア向けですが。

もうちょっと楽しいほうがいいな~という方にお勧めしたいのは5月30日(日)にあいめっせホールで上映予定の、 「ウォレスとグルミット」 。上映会詳細はひめじ国際短編映画祭HPで。

同じパペットですが、世界観は正反対。
大画面で大暴れする、愛すべき「ウォレス」と「グルミット」をお楽しみください。

(hiroko)
  

Posted on 2010年05月17日 │コメント(0)

超ベリーショート映画祭 (2010年05月10日付け)

毎年作品探しに出向いている映画祭のひとつに、
「Festival internatinal des tres courts」があります。

Tres cours=very shortということで、3分以下の作品(クレジットを除く)ばかりを集めた、超ベリーショート映画祭です。

今年で12年目の映画祭。
仕事で5年ほど前に行った時は300人程度収容の小さな映画館で客席も満席とはいいがたい状態。

今年の会場はパリのド真ん中、forum des images での上映で、金曜20時からの上映に、5分前に行ったら、受付に列が!そして1000人位は収容できるとかという広さの会場の中は既に満席状態。
でちょびっと端っこの席にすわる。




これは上映終了後、24時前の様子。賞の発表を待たずに帰った人も多かったのでこの時点では客席はまばら。




グランプリを受賞した監督が来場できなかったため、スカイプ?による実況中継。
賞金は1500ユーロだったっけ?昔は賞品だったのに、確実に成長!

この後は、毎年恒例のプチレセプション?といっても手作りのケーキやお菓子とジュース、ワイン等が振る舞われるのだが、この内容もグレードアップ!?
最初はポテトチップス系にスナックしかなかったはずなのに今年はガスパッチョみたいなのがあった!

少人数のアソシエーションが主催しているので手作り感満載のアットホームな映画祭。
だけど、賞金額も増え、客数も増え、確実に成長している映画祭。見習わなければです。

そして、今年も2~3作、いい作品をみつけてきました。

お楽しみに!!

ちなみに彼らのサイトで、過去の入選作品のいくつかが視聴できます。
興味のある方はどうぞ。


応募もとっても簡単なので、制作者の方、応募してみてください。
年の初めに映画祭ホームページで募集を受け付けています。

3分の一ごとに7分程度の休憩はあるものの、51本、3時間強のプログラムを一気に上映する耐久レースのような映画祭。

仕事帰りなので、ちょっと気合いを抜くと、意識が遠のき、3本ほど見そこなってしまいましたが、(失礼!でも観客を寝させる作品も悪い。。。)でも3分と言えど、いろんな3分。
手法も作風もテーマも本当にバラエティに富んでて、「あっぱれ」という作品も多数。
いや、ベリーショートは奥が深い。

ということで、短編映画に興味を持ってくださった方。
来週末5/15(土)は第一回目のシネマナイトです。無料で短編映画が楽しめちゃいます。皆様のお越しをお待ちしております。イベント詳細はこちらで。


(hiroko)



  

Posted on 2010年05月10日 │コメント(0)

Merry X'mas & Happy New Year ! (2009年12月26日付け)

遅ればせながらメリークリスマス!

こちらパリは先週は雪!でマイナスの日々。
今週はちょっと気温が上がりましたが、まあ寒い日が続いております。
日本の皆様はいかがお過ごしでしょうか。

鍋に湯豆腐、蟹…と冬の味覚を楽しまれていることでしょう。(ああ、うらやましい)

さて、一応本場のフランスでは町中がクリスマス一色で、今日25日は祝日となっております。
商店街や、デパート、市庁舎や各建造物もクリスマスデコレーションで美しく飾られていたりと、まあ華やか。




こちらはノートルダム大聖堂前の巨大クリスマスツリー。(注:下から見上げて撮っているので実際より大きく見えてます)

この他にも大小、デコレーションも様々なツリーが町中に、花屋さんに、そしてスーパーにまで溢れています。

でクリスマスのお料理と言えば、フォアグラ、牡蠣、サーモンなどなど。
でメインはチキンの丸焼き!




シャポンの中にニンニクや肝、ハーブなどを詰めての丸焼きです。
シャポンはクリスマス用のみに6ヶ月間も飼育されるらしい去勢された雄鶏。
丸々太ってます。高級品だそうです。
確かに、柔らかくてジューシーで、美味でした。

今年は映画祭の交流パーティー以来2度目の丸焼きとの遭遇。
(って普通のチキンはどこの肉屋でも年中回ってますが)
特に丸焼きファンではないのですが、やはりパーティー料理ということで気分が盛り上がりますね。

というわけで、クリスマスが過ぎ、12月も残すところ1週間を切りました。

皆様の2009年はいかがでしたか?

ひめじ国際短編映画祭にとっては、3年目にして公募作品応募数、観客数と飛躍的に増え、またシネマナイトやドキュメンタリー制作と新しい試みも行い、大変充実した一年となりました。

ご協力、ご支援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
素晴らしい作品を提供してくださった監督の皆様、本当にありがとうございました。
本業とのかけもちで大変ながらも最後まで頑張ってくれたスタッフの皆様、本当にお疲れさま&ありがとうございました。

そして、

ひめじ国際短編映画祭は、来年度も開催します! 

開催予定日:2010年8月7日(土)、8月8日(日)
開催場所:イーグレひめじ あいめっせホール

来年もまた、皆様に会場でお会いできることをスタッフ一同楽しみにしています。

詳細は後日ブログで随時UPしますので、お楽しみに!

質問等ございましたらブログオーナーにお気軽にメッセージをお送りください。

それでは、2010年が皆様にとって素晴らしい年になることを祈りつつ、

Joyeux Noel & Bonne annee !(フランス語でメリークリスマス&よいお年を!)

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

(Hiroko)



























  

Posted on 2009年12月26日 │コメント(0)

パリのギリシャ神殿でミニフィルム上映! (2008年11月20日付け)

久々にパリニュースなども。

クリスマスシーズンを目前にし、街中がライトアップされてなんだかうきうきな今日この頃。

こちらパリでは例年のクリスマスイリュミネーションに加え、こんな素敵な映像上映も!



2008年後半の欧州連合理事会議長国となったことをうけて、エッフェル塔が青くライトアップされていますが、さらに、こちら国会議事堂もこんな感じでパリの夜に華を添えています。

7月1日より毎夜、8分間のミニフォルムがギリシャ神殿風の美しい外観をもつ国会議事堂(ブルボン宮)に投影され、市民、観光客の目を釘付けにしています。

欧州統合の推進者として知られるジャン・モネや、ヴィクトル・ユーゴーを中心に、欧州連合の設立に影響を与えた思想や、設立までの過程に関連する8分間の映像が繰り返し上映され、通行者は思わず足を止め写真をぱちり。

私も思わず自転車を停め、見入ってしまいました。

さすが世界的観光地パリ…やってくれるなと思いましたが(お金かかるだろうに)、フランス政府の政治的な目論見があってこその話。

こちらの映像で、パリを訪問する各国代表を歓迎するとともに、フランス国民、また観光客などすべての外国人に欧州連合に対する理解を深めてもらおうというわけなのです。

また、欧州連合議長国として、フランス国民に議長国民としての自覚を促すとともに、欧州連合に対する認識を深めてもらおうという狙いもあるのです。

世界的に有名な建造物でもあるブルボン宮殿での投影を通して、世界にこれらのメッセージを美しい映像によって発信しています。

さすが、フランス!

姫路も何かしませんか~~???


参照(写真もこちらから拝借)
http://www.assemblee-nationale.fr/europe/presidence/evenements/illumination-colonnade-UE.asp

(hiroko)
  

Posted on 2008年11月20日 │コメント(0)

ジャン・ジャックス・ベネックスに学ぶ映画祭の意義 (2008年06月08日付け)

今週は「DIVA・ベネックス」weekだった。

先日ミーティングのために行ったホテルのバーでリシャール・ボーランジェにすれ違い昨日は偶然ベネックス監督に!
はい、あの「DIVA」「ベティー・ブルー」の監督、俳優(ボーランジェはDIVAだけね)です!

そして思いがけなく、映画祭の意義を再確認した。

土曜夕方。用事を済ませた後。
とある映画館の前を通りかかると、ベネックス監督の事務所で仕事をしている友人にばったり。
「今からここで監督のトークショーとDIVAの上映会があるのよ、来ない?」と突然のお誘い。
「もちろん!」と言うわけで、ちょうど会場に着いた監督の後について入る。ついでに握手もお願い^^。


わけもわからず会場にはいったら、早速トークショー開始。
映画「ドーベルマン」で有名なヤン・ク―ネンが支援している「カルト映画祭」の一プログラムとして、「DIVA」が選ばれており、その前にベネックス監督とヤン・ク―ネン監督ともう一人の監督が「カルト映画とはなんぞや?」に始まり、「アートと商業の関係」「昔はよかった(by ベネックス)」…と続く。

80年代までは映画館が立ち並ぶカルティエだったパリ北部クリシー地区のインディペンデント系映画館で人知れず開催されていたこの映画祭。

「商業路線から外れる映画はDVD発売されることも少なく、上映期間も短く、闇に葬りさられることが多く嘆かわしいことだ。」

確かに私も姫路でフランス映画をスクリーンで観る機会はほぼ皆無。。。
TSUTAYA、NHK衛星放送、深夜番組のお世話になっていた。
この「DIVA」も録画した深夜放送を小さなテレビで観ただけだった。

商業的な成功を収められる作品以外はなかなか大画面で観ることができない悲しい現実。
でもパリではこうして、著名な監督のイニシアティブ、協力のもと、映画ファンの主催でフェスティバルや上映会が至るところで行われている。ベネックス監督は嘆いていたけど、それでも日本に比べれば天国のような国。(パリだけか?)

世界的に有名な監督が、「家からちょっとでてきた」ような気軽さでトークショーに参加し、観客の質問に気軽に応える。
制作者と観客の距離が近い。

会場は満席とはほど遠い。でもそんなことも気にならない。
見せたいものが企画し、見たいものが集まり交流を図る。
シネクラブの伝統だろうか。「儲けよう」という意志はみじんも感じられない。
純粋に映画を愛する者の集まり。

そんなフランスの映画観に刺激されて始めた姫路での短編映画祭。
今年も普段映画館で見る機会のない優れた短編作品を紹介していきます。

金銭的な問題からいろいろと制約の多い長編映画制作。ベネックス監督も、ヤン・ク―エン監督も制作本数は少ない。
自分が作りたい作品を作りたいと。

そういう意味でも、長編を撮ったあとでも自主制作できる短編映画をつくり続ける監督もいるんだ…と妙に納得。

今や「Sweet Rain死神の精度」で長編監督デビューを果たした期待の若手監督、筧昌也監督。
彼も精力的に短編を作り続けているとか。

今や各映画祭でひっぱりだこの筧監督。
姫路にも来てくださいます!関西の筧監督ファンの皆さん、8月3日は姫路に集合だ!(詳細は後程)

というわけで、偶然偶然の素敵な夜を過ごしたのでありました。

(Hiroko)






  

Posted on 2008年06月08日 │コメント(0)