2010映画祭リポート④:勝又悠監督特集&ティーチイン

お次は、勝又悠監督特集&ティーチインのレポートです。

数多くの自主映画制作の後、近年は、商業映画制作にも乗り出した勝又監督。
今回は、自主制作作品で日本国内多数の映画祭で高い評価を得ている「キミ/ハミング/コーヒー」と東京国際映画祭のスカラシップを得て制作された「はい!もしもし、大塚薬局ですが」の2作を上映し、その制作秘話を伺いました。
上映作品情報&監督プロフィールはこちら。

2010映画祭リポート④:勝又悠監督特集&ティーチイン



以下、トークの内容を簡単にまとめてご紹介いたします。

*ひめじだけで語ってくださったぶっちゃけ話もありましたが、それはカットしてます。普段聞けない内緒の話が監督ご本人から聞けるのがトークの醍醐味なんですよね。


Q:個性的なタイトルですが…

思い切りセンスのないタイトルをつけて、逆に目立って、観客にタイトルを覚えてもらうことを常に狙っている。

「キミ/ハミング/コーヒー」は、ハミングがハ―モー二ーにならないお話。
鼻歌とハミングの境界線はあいまい=あいまいな関係を描いた作品。
コーヒーも苦いのもあり甘いものもあり、いろいろ=あいまい。
という意味合いもこめている。

「はい!もしもし、大塚薬局ですが」はスカラシップの関係もあり、制約も多く制作が大変だった。自分自身のモチベーションをあげるために、大好きな大塚愛の名前をタイトルに入れた。

Q:2作は全く違う制作方法をとっているが、目指すところも違っていたのか?

「はい!もしもし、大塚薬局ですが」はお金もでるので、今までと全く違うことをしようと思った。
海外マーケットを意識して制作し、ドイツの映画祭ニッポンコネクションでも招待上映された。
その後、数各国のフェスティバルを回る予定なので今後の反響が楽しみ。
ドイツには実際に行って観客の反応を生で感じたが、狙ったところでちゃんと受けていた(笑ったり、シーンとなったり)のが嬉しかった。(笑いのセンスが違う海外で、狙ったところで、見事受けるということは非常に珍しい!)
日本の映画祭で上映した時は外していたのに、海外で狙っていた通りの反応がかえってきたので驚いた。

海外を考えていたので、「キャラ作り」をかなり意識した。人が思いつかないこと、やりすぎかな?と思うようなことをどんどんとりいれて、演出にかなりこだわった。

「キミ/ハミング/コーヒー」に関しては、導線は引き、ある程度のキーワードは僕が与えたが、その後は、俳優の自主性にまかせて自由に話させるという手法をとった。

Q:リアリティのある、等身大の主人公、セリフが作品の魅力でもあるが…

「キミ/ハミング/コーヒー」は完全な実話だけど、僕がどちらの立場かは内緒。
撮った後は、失敗作だと思って落ち込んでいた。
「キミ/ハミング/コーヒー」が予想外に評価されて驚いた(同作は今年度のぴあフィルムフェスティバル他多数の映画祭にノミネートされ、受賞もされています)が、この評価は自分の力ではないと思ってる。ロケ地の力だったり、役者の力のおかげでこの評価があると思う。

2作の作品もそうだが、僕が生まれ育った「足柄」の土地でのロケにこだわっていて、9割の作品を「足柄」で撮っている。

幼少期の記憶に満ちた土地なので、それをもとに枠を広げて、実話と妄想の部分を混ぜ、記憶を塗り替えるという感じで作品作りをしている。

Q:作品づくりでこだわっていること、キーワードは?

「女子」の描き方にこだわっている。ステレオタイプな女子ではなく、「やんちゃな女性」を描くようにしている。自分の理想の女性という側面もあるがそれだけでもない。

Q:自主制作と商業映画制作の違い…

お金がもらったら自分の好きなことができなくなるわけでもない。やり方次第。
「はい!もしもし、大塚薬局ですが」に関しては、制作スタッフはみんな初顔わせの人だった。監督(僕)は嫌われキャラで、緊迫した雰囲気の中で仕事をしていた。皆さんプロのベテランの方なので、僕の言うことに納得してなかったかもしれないけど、言ったことはきっちり聞いて(聞かせて)仕事をしてくれた。

譲れないところは譲らない。たとえば、今回はキャスティングだったり、タイトルだったり、ロケ地(足柄)だったり。折り合いを見つけながらやっていける。

「キミ/ハミング/コーヒー」はもちろん僕が指針を示すのだが、スタッフと相談しながらわきあいあいと制作していった。

Q:今後の予定は?

商業映画として準備していたものがあったが、流れてしまった。自分の企画なので、予算は大幅に減ることになるが、自主制作する予定で現在進行中。
今僕が、考えているタイトルは「女子劣等2011」。


自主制作と商業映画制作の違い、醍醐味を、具体的なエピソードを交えて楽しく語ってくださいました。
今回上映させていただいた2作品の他にも、昨年コンペインした「かすみちゃん」一昨年コンペインした「39ra☆愛きゅん」など、多数の作品を制作している勝又監督。一連を観ていると、しっかりと勝又カラーが確立されていることに気付きます。(あえて例外を狙った作品もあるそうですが)

観終わった後に、懐かしさと心地よい胸の痛み(「きゅん」ってやつですかね。言うのが恥ずかしい歳ですが)を感じる勝又監督作品。作風を確立しながらもどんどん新しいことにチャレンジして、新しい側面を見せてくれる勝又監督。今後を見守って、応援していきたいですね。

勝又監督、ありがとうございました!

勝又監督(STROBO RUSH) ホームページ:http://stroborush.com/

(hiroko)



タグ :勝又悠

ピカピカ ブログランキング参加中。映画祭を応援してくださる方、クリックお願いします。ピカピカ
にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 姫路情報へにほんブログ村 映画ブログへ
同じカテゴリー(2010映画祭NEWS)の記事画像
2010映画祭リポート⑬:磯村一路監督特集&トークその4
2010映画祭リポート⑫:磯村一路監督特集&トークその3
2010映画祭リポート⑪:磯村一路監督特集&トークその2
2010映画祭リポート⑩:磯村一路監督特集&トークその1
2010映画祭リポート②:EDHドキュメンタリー上映★加筆★
2010映画祭リポート⑨:スタッフセレクション上映
同じカテゴリー(2010映画祭NEWS)の記事
 2010映画祭リポート⑬:磯村一路監督特集&トークその4 (2011-01-20 20:00)
 2010映画祭リポート⑫:磯村一路監督特集&トークその3 (2011-01-20 07:50)
 2010映画祭リポート⑪:磯村一路監督特集&トークその2 (2011-01-19 23:30)
 2010映画祭リポート⑩:磯村一路監督特集&トークその1 (2011-01-05 06:38)
 2010映画祭リポート②:EDHドキュメンタリー上映★加筆★ (2010-12-30 07:01)
 2010映画祭リポート⑨:スタッフセレクション上映 (2010-12-30 02:55)

Posted on 2010年10月14日│コメント(0)

関連カテゴリー:2010映画祭NEWS
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。

あなたの声をぜひおよせください

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。